
展示室には、他の部屋にはない別の問題があります。それは、建築工事が完成したあとで、展示工事が行われるので、どんな展示がされるかを見越して設計しておかねばならないということです。幸い、平塚の場合は建築設計と展示設計が並行して進む時期があったので、その調整をとることができ、よい結果を得ることができました。
たとえば、1階の展示室には民家が復元されています。民家は、天井まで5m以上の高さがあります。それを館内に復元するには、展示室の天井がそれ以上高くなければなりません。かといって、天井の高さをあまり高くすると、階段の踊り場を2ヶ所にしなければならないとか、柱を大きくしなければならないとか、建築基準法上の様々な問題点がでてきます。そこで、可能な最大限の高さとして1階は6mにすることになり、民家もかろうじておさめることができました。
また、展示室の天井には白いメッシュが張られていますが、このメッシュは建築工事で作ったものです。そして、民家が復元されている所を見て頂くと、このメッシュが避けて作られているのが分かると思います。天井には空調のダクトが配管されていますが、これも民家の屋根の部分は避けてあります。こうした調整も建築設計図と展示設計図を重ね合わせながら調整されていったのです。
※ここに掲載した文章は、開館20周年記念展の際に発行された図録中の 第1章 博物館ものがたり 9.博物館の建物ができるまで です。執筆された故浜口哲一先生のご厚意によりここに掲載させて頂きました。